たばこハームリダクションとは?

 

喫煙を続ける意思のある20歳以上の喫煙者向けに、紙巻たばこ以外によるニコチン摂取方法としてよりリスクを低減させた製品を選択肢として提供することが、公衆衛生当局の考えです。

 

喫煙を続ける意思のある20歳以上の喫煙者には、紙巻たばこ以外によるより良いニコチン摂取方法が存在します。このようなリスクを低減させた製品を選択肢として提供することは、公衆衛生にとってもプラスになるのではないかという考えがあります。これが「たばこハ―ム・リダクション」という考え方です。

 

科学技術や規制環境の進歩により、害を及ぼす行動を続けることによって引き起こされる危険を、社会として軽減していくことが可能となっています。

 

ハ―ムリダクションはリスクを完全に取り去るものではないため、行動そのものをやめることとは同等ではないですが、もともとの行動を継続するよりは害を低減することができます。ハ―ムリダクションの実践により自分の選択する行動が、自分自身、周囲の人々、社会全体、または環境に対して与える様々な影響を抑制することができます。

 

例として、電気自動車について考えてみましょう。電気自動車は従来のガソリン車と同じように、ある場所から別の場所に移動するための手段ですが、同じ距離を走行しても、ガソリン車の排気ガスに比べて、環境への影響が大幅に低減されます。同様に、イノベーションにより、喫煙を続ける意思のある20歳以上の喫煙者に対し、紙巻たばこに比べ大幅にリスクを低減する可能性のある製品も開発されました。

 

ハ―ムリダクションの考え方を日々の生活に取り入れるほど、個人、社会、そして環境にとって大きな利益をもたらすことができます。

 

肌を太陽から守るー。太陽光にさらされることによるリスクはよく知られており、主に皮膚関連疾患や重度のやけど、肌の老化などの原因となります。このようなリスクを覚悟の上、多くの人は太陽を肌に浴び、友達と遊んだり、スポーツをしたり、ビタミンDを積極的にとるなどの行動をします。

 

一番安全なのは直射日光をまったく浴びないことですが、太陽に当たるリスクを低減できる、科学的根拠のある様々な革新的が技術が開発されています。例えば、UVAやUVBをカットするサングラスや、UVAとUVBの両方に対応するSPF15以上の日焼け止めの使用が公衆衛生当局により推奨されおり、国内でも多くの人たちが紫外線対策を目的とした様々な製品を利用しています。

 

 

 

たばこハームリダクションの重要性

 

このようなハ―ムリダクションの例は身近に存在します。

 

たばこに対しても社会全体で同様のアプローチを取り入れる必要があります。研究によると、どの年の統計でも10人に9人以上の喫煙者が喫煙を続けるという結果が報告されています。主な公衆衛生機関の予測によると数値的には現在と大きな変化がない、2025年でも喫煙者は約10億人いるとされています。つまり、禁煙を推奨するだけでは、効果はあっても不十分なのです。

 

現在、たばこ葉を燃焼させない、科学的に実証された煙の出ない製品が存在します。たばこ葉を燃焼させた際に発生する煙との比較において、発生する有害および有害性成分の量や濃度が低減されています。これらの製品にリスクがないわけではありませんが、喫煙を続ける意思のある20歳以上の喫煙者にとっては紙巻たばこよりも、煙の出ない製品はより良い選択肢です。このことから、他のハームリダクション対策と同様に、喫煙を続ける意思のある20歳以上の喫煙者には、このような製品と、それら製品についての正しい情報が提供されるべきです。

 

喫煙を始めないこと、また喫煙者には喫煙を止めることを推奨する現在の取組みは継続しなければなりません。ですが、これに加えてたばこハームリダクション対策を並行して実施することで、喫煙の減少を加速させられます。喫煙よりも、よりよい選択肢を提供し、充分な人数の喫煙者がこれに移行すれば、紙巻たばこのない社会という世界の公衆衛生上の大きな節目をより速やかに達成することができます。